・診断対象となる住宅.....私のお家は対象になりますか?
既存木造住宅の耐震診断は、一般的な木造住宅(在来工法や枠組み工法「2×4」)や古くから伝わる伝統工法といわれる住宅など、ほとんどの木造住宅に適用する事が出来ます。また、住宅の1階が鉄骨増や鉄筋コンクリート造で出来た2階建や3階建の住宅もその木造部分の診断をする事が出来ます。
・耐震診断の種類.....耐震診断ってどんな感じ?
既存木造住宅の耐震診断は大きく分けて2種類あります。それは、一般診断法と精密診断法です。これからその2つについてご説明します。
・一般診断法
一般診断とは、木造住宅を破壊行為を行うこと無くその住宅の耐力を診断するもので、目で見てわかる事や設計図面などでわかる情報を元に行う診断です。
筋交など壁の内部にある物は破壊行為を行わない為、確認する事が出来ない場合は「不明」として診断をおこないます。
よって、一般診断では住宅の壁の内部などの情報は住宅のすべてを確認している訳ではないので、住宅の耐力は少し弱い目(安全側)に判断される事になります。
・精密診断法
精密診断とは、木造住宅の耐震診断を行う際に不明な部分を極力少なくする為に、わからない部分は破壊行為を行い、確認していく耐震診断です。
不明確な部分が少なくなるため、一般診断よりも精度の高い耐震診断を行うことができます。しかし、破壊行為が前提となる診断であるため、補修工事が伴うことから、リフォームや耐震改修を行うことが前提の住宅以外には比較的不向きな耐震診断と考えられます。
・耐震診断の方法.....耐震診断ってどのような診断?自宅のどこを診断するの?
一般的な耐震診断は、建物により2種類の診断方法があります。
そのうち、最も多い診断方法は、木造住宅の壁が何で出来ているかを検討する方法です。
木造住宅は上からの力や重さは柱や梁で支えていますが、横からの力である地震や台風などの力は壁が支えていると考えられます。ですから、住宅の壁の配置とその構成を調べる事により、耐震強度をはかる事が出来るのです。
実際に耐震診断にお伺いする際には、壁の構造を把握する為に、全部屋の壁(収納の内部を含む)や屋根裏、そして、床下などを確認します。
・耐震診断の結果報告書.....診断結果ってどこをどうみるといいの?
耐震診断の結果報告書は見慣れない方にとっては非常に難解な書類だと思います。
ですから、ここでは、本当に重要な部分を強調する形でご説明致します。
((社)日本建築防災協会発行の「一般診断法による診断の実務Ver.2.1.0」の場合をご説明致します。)
まず、「一般診断法」と大きく記載されている1ページ目を見てください。
「建物概要」の下に「④建物仕様」という欄があります。
ここでは、住宅の重さを「屋根の仕様」と「壁の仕様」から判断しており、建物重量が重いほど支えるための耐力が必要になることを表しています。
その次のページの「壁配置図」のところを見て頂くと、住宅の間取りがあり、太い実線にW○○と記載されていると思います。それは、壁一枚一枚に名前をつけていて、その横に( )で記載されている数字がその壁の持っている耐力となります。
その耐力の構成は、数ページ後の「部材リスト」に記載されていますので、ご確認ください。
次に、さらに数ページ先に進んで頂くと「6. 耐力要素の配置等による低減係数」という部分があります。ここは、住宅の壁の配置のバランスを計算している部分で、「低減係数」の部分の数値が「1.00」以下になっている場合は、住宅の壁の配置バランスが「良くない」ことを意味します。また、その下の「7. 劣化度による低減係数」という部分では、住宅の劣化部分を確認しており、住宅に劣化が生じている場合は新築の状態よりも耐力が低下していると思われるため、低減係数により劣化を判定しています。
最後に、「8. 上部構造評点」では、全体の耐力に上記の「 6. 耐力要素の配置等による低減係数」と「 7. 劣化度による低減係数」をかけ算して出てきた数値と「必要耐力」(建築基準法で定めている建物によって必要な耐力)とを割り算して出てきた数値が「上部構造評点」をあらわし、これが実際の住宅の耐震性を表す数値となります。
現在の新築住宅では、この上部構造評点は「1.0」以上が最低基準となっている為、上部構造評点を見る事で、どの程度の耐震性能であるかを判断する事ができます。
・耐震改修の必要性.....耐震改修って古いお家にも必要かな?
地震はいつ襲ってくるかわかりません。また、シェルターのように頑強な部分を設けても、震度5を超える地震の場合は人は歩く事が出来ないため、住宅のどの部分に居ても結果は同じと考えられます。つまり、耐震補強により、たとえ、上部構造評点が1.0には届かなくても、弱点をなくす事は非常に大切であると考えます。
住宅の基礎などにより、ある部分のみを極端に強化することが出来ないこともありますので、出来る限り全体がバランスよく補強できるように計画する事が大切です。
・耐震改修工事とは.....耐震改修工事ってどんな工事?
耐震改修工事には様々な方法がありますが、ここでは代表的な方法について説明致します。
耐震改修工事の主な方法としては、壁の耐力を向上させることにより、建物の耐震性を向上させる方法となりますが、忘れてならないのは「配置等による低減係数」を向上させる事です。
つまり、建物のバランスを考慮しながら、耐力を向上させることが大切です。
具体的に内容を説明しますと、壁の内部に筋交を取り付けて柱の上下を金物で補強し、構造用合板などの耐力面材を張る事が多いです。その際には、その壁の床・壁・天井を撤去して補強工事を行うことになります。また、壁のみを撤去して補強を行うこともあります。
耐震補強工事は、その補強方法によって、工事の方法が異なりますので、お客様のご希望に添った耐震補強工事を行うには、数回の打ち合わせと設計が欠かせませんので、補強工事をお考えの場合は、専門家にご相談ください。
・耐震改修工事費用.....工事費ってどのくらいかかるの?
耐震改修費用は、住宅により様々ですので、だいたいどの位とは説明しにくいですが、安価に行える住宅の場合で、約100万円程度から施工できますので、お気軽にご相談ください。工事内容によって費用が変化しますが、リフォームを兼ねて施工される方が費用対効果が良いと思います。
耐震改修の事例は、弊社が設計・施工を行った物件でも多数ございますが、各自治体の役所で耐震改修事例集を作成しており、無料で配布されておりますので、弊社にご連絡頂くか、役所の方で取得してください。
・各地域の役所の補助金について.....各地域の耐震診断や耐震改修の補助金ってどのくらい?
耐震診断や耐震改修の補助については、各自治体の役所で確認する事が出来ますので、弊社にお問い合わせ頂くか役所の方でご確認ください。
お問い合わせ先
・奈良市 奈良市役所建築指導課
・生駒市 生駒市建築課