09・間取りを微調整し、補強計算を実施
Complete No.007
耐震診断編
耐震補強設計編
耐震改修工事編
前回の打合せをふまえて、補強計算に入ります。
ここでは、補強計算のコツを紹介致します。
耐震改修では、主に筋交と構造用合板を用いて補強を行います。
この住宅でも、筋交と構造用合板を用います。基本的には外周部には筋交と構造用合板を、
内部には筋交を計画していきます。ここまで大規模な工事になると、
新築同様な工事の施工方法が可能なので、補強計算自体は非常に計画しやすいです。
それでは、補強計算書の「読み取り方」を見ていきましょう。基本的には耐震診断と同じですので、
異なる部分の重要な部分を中心に見ていきます。
右に補強計算書の表紙がありますが、ここの④建物仕様を見て下さい。
この部分は耐震診断時には「非常に重い建物」という記載でしたが、今回の補強計算では
「重い建物」という記載になっております。つまり、建物の重量を少なくして耐震改修するのです。
屋根の重さは、なかなか実感できるものではないですが、簡単に説明しますと、
1 ㎡ 当たりの重さが土葺きの瓦屋根で約85kg/㎡〜約110kg/㎡ もあります。
これを土をほとんど使わない瓦葺きの桟葺きにすると、約45kg/㎡〜約47kg/㎡まで軽くなります。
これは、この住宅にとっては、約2,770kgの軽量化となります。大きいですね。
普通自動車が約2台分も軽くなれば、それだけ支える力も少なくてすみます。
そして、次は右の二枚目の平面図部分を見て下さい。
ここの壁が白抜きになっている部分が補強計算で既存の壁から変更している部分になります。
この住宅では、すべての壁を撤去するので、全部です!
なかなか、ここまでする事は無いので、不思議に思われるでしょう。費用も相当かかるし...
でも、この住宅は、住まい手の奥様の弟さんが設計し、建築したもので、既に亡くなられているため、
この世に残るものは本当に少ないのだとか。
弟さんの思い入れを全部解体する建替えの選択肢は無いですよね。
よって、こんな大規模な工事になったのです。
そうそう、補強部位の話でしたね。ここの壁で補強している部分はW00からHW00に名前が変わります。
それが、「部材リスト」で確認できるのです。
細かい話は、おいおい紹介するとして、補強でどのくらい強くなったかというと、
2階 X方向 0.83 → 2.25
Y方向 0.77 → 1.34
1階 X方向 0.78 → 1.72
Y方向 0.54 → 1.06 です。
かなり、補強する事ができますね。
次回は、耐震補強設計編の 10・ 全体の工事費の見積り作業へ入ります です。
建物概要 木造2階建て
屋根:淡路瓦桟葺き
外壁:ラスモルタル刷毛引きの上、
ベルアート、キャニオンローラー仕上げ
内部:フロアー 吉野桧、吉野杉
壁 クロス仕上げ
住まいの設計は 一級建築士事務所 Hirano S-A Laboratory 〒630-0243 奈良県生駒市俵口町950-1-203 URL : http://www.hirano-s-a-labo.com e-mail : tomohisa@hirano-s-a-labo.com
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Complete No.007 奈良県 生駒市 S邸 「木、香るフクロウの家」
・耐震診断 耐震改修 設計/施工 ナチュラルモダン 無垢材 吉野杉 吉野桧 淡路瓦
特徴:吉野杉、吉野桧をふんだんに用いた住まい。新築のようであるが、実は耐震改修
を行ったリフォーム物件! 平成20年度生駒市耐震改修事例集.pdf 掲載」